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行政書士 若林五郎

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遺言書の「付言事項」って聞いたことありますか!?

投稿日:2018年12月13日 更新日:

配偶者の居住権確保などと並んで民法改正の大きな目玉が、自筆証書遺言制度の見直しです。

現行の自筆証書遺言

自筆証書遺言は、その全文を自署(手書き)する必要があります(民法968条1項)
この手書きについて、遺言本文のみならず、財産目録も手書きすることが求められており、仮に財産目録を手書きしてない自筆証書遺言がある場合、不備のある自筆証書遺言として扱われました。そもそも遺言本文を手書きするだけでも大変なのに、財産目録の全てを手書きしなければならないこと、更には書き間違ったりした場合には、決まった要式で訂正する必要があり、これができていないと、自筆証書遺言は無効となってしまうこと(民法968条2項)などが、制度利用者の大きな壁となっておりました。

自筆についての改正案

改正案では、自筆証書遺言のうち、財産目録の部分については自署する必要がなく、ワープロで作成してもよいこととされました(改正民法968条2項)。
本改正により、財産目録だけでも手書きの面倒臭さが減り、記載内容の不備により無効となる危険も減ることから、自筆証書遺言の利用の増加が見込まれると言われてます。

自筆証書遺言の保管場所は自宅

自筆証書は自宅で保管されることが多く、紛失、破棄などのおそれがあり、自筆証書遺言のデメリットの一つとして取り上げられておりました。
また、相続人が死亡した際に自筆証書遺言が発見された場合、裁判所による検認手続きを経なければならず、その手続きの煩雑さからも自筆証書遺言のデメリットとされておりました。

これら自筆証書遺言のデメリットが今回の改正では、解消される見通しです。
具体的には、自筆証書遺言を法務局において保管する制度(「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」)が創設されます。
遺言者は、自ら作成した自筆証書遺言について、遺言書保管所として指定された(住所地、本籍地、所有不動産の所在地を管轄する)法務局に対して、当該遺言の保管申請を行うことができることになりました(改正案4条2項)。
ちなみにこの遺言書の保管制度を利用するにあたり、代理申請は認められません。(改正案4条6項)

申請が許可された遺言書については、遺言書の画像等の情報が磁気ディスク等に保存されることになります(改正案7条2項)

また、遺言者の死亡後、その「関係相続人等」(相続人、当該遺言書に記載された者など)は遺言書保管官に対して、「遺言書情報証明書(遺言書保管ファイルに記載された事項を証明するもの)」の交付を請求することができる(改正案9条1項2項)他、遺言書原本の閲覧を申請・請求することもできることになりました(改正案9条3項)。

さらに、当該法務局に保管された自筆証書遺言については、検認手続を要しないこととされています(改正案11条)。

今回の改正では、自筆証書遺言の保管場所を法務局とすることができることと、裁判所による検認手続きが不要になることから、制度を利用促進が大きく図られると期待されてます。

遺言には何を書くのか

遺言書には、「誰に何を相続させる」かを記載します。
そのため、相続させる人をしっかりと明記すること、相続させる財産を明確に表記することが重要です。
しかし、遺言書の末尾に「付言事項」という条項を設けるのが実務上取り扱われております。
遺言書の付言事項と言ってもピンとこないかもしれませんが、実際にはどのようなことを書くかというと、、、

「長男の孝には、身の回りの世話や看病など、長年に渡り、面倒を見てもらいました。私が築いた財産のほとんどを孝に相続させるという私の想いを尊重して、兄弟仲良く生活していくことを切に願う」

など、被相続人の最後の想いを相続に伝える条項です。
この付言事項に法的拘束力はないと言われておりますが、被相続人の最期の意思表示を尊重してほしい場合などに書き込むことが多いです。

このようなことを書いても揉めるときは揉めますが、書かないよりは書いておかれた方が良いと思いますので、遺言書作成のお客様には書くことをおススメしております。

賢いはずの日本人ですが、相続に関しては殊の外、学習能力が低く、これだけあちらこちらで争続(争う相続の俗語)が起きているにも関わらず、いざ当事者にならなければ、真剣に考える人が非常に少ないです。

「相続は揉める」

という前提で、ものごとが進んでしまってからでは、時すでに遅しで、事前の対策が大事なんです。

相続税がかかる人は相続案件全体の約12%~18%であると言われてます。

相続対策というと、すぐに相続税対策ばかりが注目されますが、本当にやらなければならないのは、「分ける相続対策」です。

もめたときの労力などに比較すれば、相続の事前対策は安いものです。

「誰もが避けて通れないこと」という意味では、親が要介護になったらどうしようか、という話し合いと同じくらい早い段階で話し合いべきことです。

相続トラブルがなくなり、平和な世の中になることを願います。

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